作られた真実

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 ゲリラ豪雨のため電車が運行停止になり、先野光介は事務所に帰るのが遅くなってしまった。  だがそのおかげで有用な情報を手に入れることができた。  喫茶店で足止めを食らっていたところ、ネット経由でデータベースをあさっていた横塚はノートパソコンを見つめて突然叫んだのだった。 「どうしたんだ?」 「見つけたぞ! 隠し子の証言だ!」 「なんだと?」 「おかしいな。こんな文書に気づかなかったなんて……。だが、まぁいい。とにかくこれを見てくれ」  横塚がノートパソコンの画面を先野に向けてくる。記事になる前の取材メモの一覧が表示され、そのなかのひとつに、TYの隠し子の存在をにおわすものがあった。 「これはウラをとらなかったのか?」
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