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Prologue 〜晴れた空に舞うにわか雪
オシャレを覚えたのはいつのこと……? 鏡の前で、ママの口紅を内緒で塗った時? ぶかぶかのハイヒールをそっと履いた時? それとも、素敵な男の子に恋をしてから?
***
ラジオから流れるのはクリスマスソングと暖かで懐かしいような心温まるメロディー。
「パパ、お天気なのに、雪が降って来た!」
少なくともパパにうさちゃんの髪留めで、腰までの長い髪を結んで貰っていた少女は、マフをした手で頬を覆うように頬杖をつき、初雪のちらつく、真っ青な空を眺めながら、考えることはパパやママのことだった――。
「Xmasのお祝いに魔女が降らせたのかも」
「そっかぁ、とってもキレイだね、パパ!」
「ホワイト・クリスマスになるといいね?」
ママはお星様になったと聞かされていた。意地悪な男の子よりパパが大好きだったし、鮮やかな赤のルージュやハイヒールなんて、流行のハイソなものは身近になかったから、少女は自然体にありのままでいられたのだ。
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