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喧嘩するほど
「最低…!」
「は?それはお前だろ?ふざけんな!」
多喜と梨帆はいつものように喧嘩をしていた。
「だいたい、なんで僕が…怒られなきゃならないんだ!」
「だって、自分だってたくさん電話してるくせにー!」
「仕事だし!お前の国際電話とは違うんだよ!」
「ひどい!もう知らない!バカ!」
「お前のせいだからな」
二人は気まずい雰囲気になったが、そのまま夜になった。寝室では、多喜は無言だ。もう寝てる?
「多喜、怒ってる?」
恐る恐る梨帆は尋ねてみた。が、返事はない。
「あの…ね」
「…なんだよ」
「明日、梨喜の授業参観なの」
「は?僕は知らないぞ?」
「梨帆だけ行こうと思って…で、何着ていこうかな?」
「は?なんでもいいんじゃないか?」
「…もう。ミニスカで行ってやる」
「は?ばかか。それは常識としてありえないだろ?」
「じゃあ選んでよ」
「まったく…」
そっぽ向いてた多喜の背中に梨帆はとびついた。
「多喜、梨帆のこと…嫌いになった?」
「は?なんで?」
「田淵くんと電話したから…?」
「ちげーし。料金の話だっつーの。ばーか!」
振り返った多喜に梨帆は額を小突かれた。
「うっ、梨帆は真剣に話てるんだよ…?」
「とっとと寝ろ。明日はこれでも着てけよ」
その辺に置いてあった服を投げてやった。
「あー、お料理教室に着てったやつ!まっいっか~」
「はいはい」
そして次の日の朝。
「パパ、行ってらっしゃーい!」
笑顔で多喜を梨帆は見送る。
「行ってくる」
「ちゅーしてあげよっか?」
「ば、ばかかお前っ」
「うそだよー!行ってらっしゃーい」
いつの間にか仲良くなっていた。毎度のことである。
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