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木曜日なのに全校集会。
「えー……マイクテスト、マイクテスト」
体育館の舞台上、普段は絶対マイクテストなんて言わない校長が、額に汗を滲ませながら何度も同じ言葉を呟いている。
激しく目が泳いでいるところを見ると、おそらく話す言葉がまだ整理できていないのかもしれない。
一体、何の話しなのだろう?
私はいつも通り2年2組の列の真ん中に並びながら、その様子を冷静に見つめていた。
そう言えば、今日は英語の小テストがある日だ。もちろん満点を取る自信はあるけれど、教室に戻ったら念のために復習しておこう。
そんなことを考えていた時、ふと視線を感じて私は顔を上げた。
すると、まだマイクテストと連発している校長と目が合った。その顔は、怯えたようにも、珍しいものを見つけたようにも見える。
私はニコリと小さく微笑むと、礼儀正しく頭を下げて挨拶をする。
自分よりも目上の人に挨拶する時は、礼儀正しさと愛嬌が何よりも大切なのだとお母様が言っていた。
顔を上げると、何故か校長はさらに驚いた表情を浮かべてすぐに目を逸らした。
なぜそんなに私のことを見て動揺するのか理解できないけれど、もしかしたら校長は、ちょっとシャイなのかもしれない。
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