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そんなことを思っていると、再びスピーカーからたどたどしい声が聞こえてきた。私はその言葉にそっと耳を澄ます。
「一部の生徒はすでに知っているかもしれませんが……これは今後我が校のモラルと信頼にも関わることなので、あえてこの場を借りて伝えたいと思います」
モラルと信頼。
どうやらこの二つの言葉から察するに、今回の話しは才能や名誉といったものとは関係がないらしい。
だとしたら何だろう?
私は再び考えた。
これといってまったく心当たりが思い浮かばず少し首を傾げたタイミングで、おずおずとした校長の声がスピーカーから聞こえてきた。
「えー、我が校の……我が校の生徒の中で……」
どんどんと声が小さくなっていく校長。それが逆に効果的だったのか、体育館がかつてない静けさと緊張感に包まれていく。
「我が校の生徒の中でなんと……け、け、けっ」
ん?
突如喋り方がおかしくなった校長に、私はきゅっと眉間に皺を寄せた。どうしたのだろう?
それとももしかして……、「けけけ」と笑っているのだろうか?
これはもしかすると楽しい話しなのかもしれない。
そんなことを思った瞬間、今度は空を切るような凄まじい声が突然スピーカーから響く。
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