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「けっ、『結婚』をしてしまった生徒がいますぅう!!」
爆撃機のような奇声。
一瞬、スピーカーが故障してしまったのではないかと思うほどのハウリングが起こった後、すぐに深海のような沈黙が辺りを包み込んだ。
その直後、今度は反動のように館内が突然ライブ会場と化した。
ある者は黄色い声をあげ、またある者は絶叫を。中には下品な男子たちが、雄叫びにも近い声を発している。
「し、静かに! お静かにして下さい!」
額から大量の冷や汗を吹き出している校長が、音頭をとるような動きで両手をマイクの真横でリズムよく上下に振っている。
これは空気を読んで、私も手拍子ぐらいはした方が良いのだろうか?
そんなことを思い、私が真剣な表情で最初の手拍子を刻もうと腕を上げた時、再び校長が大声で言った。
「これは我が校始まって以来、前代未聞の問題です! 盛り上がるところではないんです! だから静かにして下さい!!」
シャーラップ! っと英語のクリストファー先生の援護もあって、館内はロックンロールよりかはクラシックが似合うほどには落ち着きを取り戻した。
その再び訪れた静けさの中で、私の頭の奥で何かが引っかかる。
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