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発情期というものがあるΩは定期的に体が性欲のみに支配されてしまう。一度αと番ってしまえば、発情期にはそいつだけを求めて狂うほどの自身の性欲に襲われてしまう。他の誰とも交わることはできない。そんなの、地獄でしかない。
俺は、Ωである自分が嫌いだ。
弱く、脆く、発情期にはどうしようもなく熱くなる体が嫌いだ。
女性である母はβだが、父がαで双子の弟もα。それなのに、Ωとして生まれた自分が嫌いだ。
初めての発情期が遅かったおかげで、学生時代の俺はクラスにαがいても問題は無かった。Ωだと気付かれずに、αである双子の弟 葵のそばでずっとαを演じていた。
αよりも格段に劣る頭脳を、腕力と体力を、努力だけでカバーして来た。
卒業式のあの日までは────・・・
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