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が、しかぁし!!
今日、俺はようやくΩの呪縛から解き放たれたのである!!
子供の頃、葵が言っていた「30歳まで性行為をしなかったら、Ωはβになれるんだって」という言葉を信じ、俺はそれを成し遂げたのだ!長かった・・・。
発情期を迎えてからは特に辛かった。持て余す性欲との戦い、本能的にαを求めてしまう思考と身体。
αに捨てられたΩと童貞処女の俺とでは、どちらが地獄なんだろう、と何度考えたことか。
それもこれも、今日この日のため・・・!今までの努力が全て報われたのだ・・・!!
俺はこの喜びを伝えるべく、さっそく葵に報告しようとスマホを手に取る。
プルルルルル・・・プルルルルル・・・
『・・・あい、・・・なに』
明らかに寝ていたと思われる葵の不機嫌な声。
「おい、今日は兄の30歳の誕生日だぞ!めでたいと思わないのか?」
『あー・・・、おめでと。つか俺も誕生日だっつーの。引きこもりは祝ってくれる相手が双子の弟しかいねーのかよ。さみしーな』
「なっ!?お前、俺がΩだったと知っててそれ言うのか!?」
『Ωだからって、恋愛や交友は自由だろ。茜はアンチαが過ぎるんだって。Ωだってβとふっつーに付き合えんじゃん。世の中そう簡単にαがゴロゴロ転がってるわけじゃない』
それは、正論だが・・・俺はどうしてもαは・・・
『とにかくさー。30にもなったんだから家事くらい自分でできるようにしろよ。俺もう茜の面倒見に行くの卒業したいからさ』
と言って一方的に通話をオフにする葵。
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