運命

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俺は、αである茜を組み敷く妄想を何度も繰り返した。ありえない、とわかっていても止められなかった。 αがαを抱くなんて、頭がおかしいと世間では思われるだろう。 それでも惹かれた。どうしようもなく。 茜がもしβだったら、もしもΩだったら、と報われない想像に耽った。 俺たちの学年では、αは双子の久遠兄弟と俺の3人だけだった。 茜と葵はクラスは違っていたけど休み時間や合同授業のときなんかは一緒にいたし、αの双子としてかなり目立っていたように思う。 明るく華やかな雰囲気で人気者の葵。統率力はあるものの寡黙でどこかミステリアスな雰囲気で人を寄せ付けない茜。 顔は同じでも、性格はかなり違う二人。体格差もあった。 思えばその時点で疑問に思っても不思議じゃなかったのかもしれない。
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