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茜の甘い匂いに脳の隅々までが痺れて、大勢がまわりにいることも忘れ今すぐにでもこの場で裸にひん剥いて無茶苦茶に犯したい、という欲が押し寄せる。
3年間抱いて来た茜への気持ちは、たった一度の発情で崩れ去るのか・・・。
それだけは嫌だ。
俺は爆発寸前の欲望を理性でなんとか抑え、茜を抱えて保健室へと向かう。
ベッドに寝かせ彼の頬を撫でると、俺の手に擦り寄る肌と上気した熱い息。
これ以上はこの場にいられない。茜を傷付けたくない。
保健室を出たところで
「茜っ!」
血相を変えた葵と入れ違いになる。
「茜・・・、ほんと頑張ったな。・・・だから、これからは自分のこともっと大事にしろ」
そう言った葵が、特効薬の注射器を茜に刺すのがカーテンの隙間から見えた。
茜は・・・Ω。
そうなら良かったと、ずっと思ってきたのに。叶わないと思っていたことが、叶ったのに。
俺が茜に惹かれたのは、αとしての本能だったっていうのか。
茜が本当にαだったとしたら、俺は惹かれていなかったかもしれない。
俺は・・・
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