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最近まで同じマンションに住んでいた葵は、〝運命の番〟とやらを見つけたと言って出て行ってしまった。
ずっと一緒にいてΩである俺を心配してくれていた弟が酷く塩対応・・・。多少なりとも傷付くが、これもきっと童貞処女で30歳を迎えβになった兄の心配はしなくてもいいのだ、と思ってのことだろう。
・・・にしても・・・
ベッドルームから出てリビングを見渡すと、ゴミは無いにしても乱雑に物が散乱しているのが嫌でも目に入る。
αのフリをするために自分磨きの努力はして来たが、それ以外は全くしてこなかったツケがこれだ。俺は弟がいなければ自分の身の回りの世話ひとつできないダメ人間になっていた。
仕方ない。葵が何もしてくれないと言うのなら最後の手段・・・!
ベッドルームに戻りスマホを手にする。
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