運命

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月日は流れ、茜の姿を見なくなって12年が経とうとしていた。 その間にも色んなことがあったけれど、結局俺は茜を忘れられないままだった。 ポケットの中のスマホが震える。 『綾木さん? マムの佐藤ですー』 「お疲れ様です。依頼ですか?」 『そうでーす。田中様の契約、今週いっぱいでしたよね?来週から月水金14~18時、久遠様と仰られる方からのご依頼です』 久遠・・・ 茜と同じ苗字を聞くだけで心音が加速する。 そんなはずがあるわけないのに。 「わかりました」 『マップと簡単な顧客データ、送っとくんで確認しといてくださいね。初回 月曜14時、時間厳守でお願いしますね』 電話を切ってすぐ、佐藤さんからのメッセージが送られてくる。 開いた瞬間、加速した心音が途切れた気がした。 ご依頼主 久遠 茜 様 これは運命じゃない、と俺は分かっていた。 だけど、信じたかった。この恋を運命にする、そう思った。
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