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欲しい。欲しい、奥まで。
未だかつて誰にも触られたことの無いところをこじ開けて。綾木の届く限りの一番深くに注いで欲しい、αの精子を。
こんなに苦しく切ないほどの性欲を感じるのは、発情期であっても初めてだ。
どうして・・・
「茜は、運命って信じるか?」
「う・・・ん、めい」
「俺は、αの茜が好きだった。Ωだと知った後も、気持ちは変わらなかった」
自分のとは違う速さの綾木の鼓動が、重なった胸を伝って体に直接響いてくる。
「もう、茜に逢えないと思ってた。だけど、俺はずっとどこかで信じてたんだ、運命なら必ずもう一度逢えるって」
三十路男が『運命』だなんてバカバカしい。高校卒業から何年経ったと思ってるんだ。
その間もずっと、こいつは俺に逢いたいと思っていたのだろうか。
ろくに話したことも無い俺との『運命』を、純粋に信じて来たと・・・?
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