未知との遭遇

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「ち、ちょっ、調子に乗るなぁっっ!」 俺が、とろとろで、可愛いかったって!? とろとろ、って。とろとろ、・・・って、ああもう、恥ずかしいっ!! 布団を頭上まで引き上げ、火が出そうなくらい熱くなった顔を隠す。 「調子に乗らせろって。俺のこと好きになるんだろ?」 上に乗ってきた綾木に掛け布団ごと ぎゅっ と包まれて、昨晩の彼の荒々しさと甘い香りを思い出し、治まったはずの欲がまた疼き出す。 それもそのはず、発情期間中のΩは、食欲や睡眠欲よりも性欲に身体が支配されてしまうのだ。 昨晩から発情期に入って、落ち着くのは約一週間後・・・。 初めてだ。ひとりきりじゃない発情期を過ごすのは。 たぶんきっと、俺は綾木を好きになる。 彼に溺れる予感がする。 何もかもが初めてで、未知の世界。けれど『運命』とは、そういうものなのだろう。 きっと・・・。
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