「大好き」はまた会う時に

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「……大丈夫ですか?」 小鳥がさえずり、暖かな木漏れ日が注ぐ森の奥。勇者オスクロルが目覚めたのは、見知らぬ少女の膝の上だった。 「……ッ!?」 「あ、まだ完全に癒せてないんですから、あまり動かないでください」 胸部にズキッと痛みが走る。サラマンダーと闘い、心臓を貫かれたことを思い出した。次の魔王が誕生するまで残り一年。今の実力では、王国を守ることなんてとてもできない。 「……待て、まさか貴様が治したのか?」 「はい」 きょとんとしている少女に耳を疑った。光を織り込んだような美しい金髪に、生気を帯びぬほどに白い肌と、整った顔立ち――明らかに人間ではない。すぐさま少女の喉元へと剣を構えた。 「……何が目的だ。忌まわしい魔物め」 殺気立つオスクロルに対し、少女は全く怯えもせず、少し困惑する程度で答えた。 「いえ……倒れている方を見つけたので。城の者に見つかったらあなたも殺されてしまいます」 「何だと?」 瞬間、遠くからモンスターたちの声が響いてきた。少女がはっと後ろを振り向く。 「……まずい、彼等が来たようです」
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