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早苗の強引な勧めによって
桃子は翌日早苗のヘアスタイリストを訪ねた
黄緑色のオウムの様な奇抜な髪型のお姉の
ヘアスタイリストは自分の事を
ジミーと呼べと言った
最初ジミーは桃子の姿を見て
これはひどい言わんばかりに息を飲んだが
元々醜いものから美しいものへ
変身させる事に生きがいを感じる
ジミーのヘアスタイリスト
魂に火をつけたのか
彼は意を決したかのように
ハサミを自由自在に操り
パーマをかけヘアカラーと格闘した
さらにジミーは家に帰ってからが勝負だと
小一時間かけて桃子にヘアアイロンの
使い方と自分で最低限見苦しく
ないようにヘアセットの方法を
手厳しく伝授した後
見違えた桃子をみて
満足のいくため息をついた
「ほおっらっ
ビビデ・バビデ・ブーよっ♪」
椅子を回転させられて鏡に映った桃子は
ふんわりと仕上がった自分の髪を見て
あまりの美しさに目を見張った
腰まであった
やぼったい真っ黒で量の多い
後ろに結ぶしかなかった自分の髪が
今や胸の当たりでクルンクルンに
フワフワと揺れている
艶やかな明るい髪は揺れるたびに
そこから光が発せられているようで
まるで別人のようだった
髪型だけでこんなに人が
変わるのかと桃子は感心した
自分の仕事に満足しているジミーが
桃子にウインクして微笑んだ
「シンデレラは魔法使いが
綺麗にしてくれたけどそれじゃ
現代ではダメ!
今は自分から努力をしている人ほど
内面から美しく輝くものなのよ
美しく装う事は人の心を
豊かにしてくれるものなの」
鏡越しにジミーとニッコリほほ笑んだ
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