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奏ちゃんは、わたしのサンタクロースだ。わたしの希望通りのプレゼントを、毎年必ず届けてくれる。でも、それではだめなんだ。
これまでは、奏ちゃんが届けてくれるプレゼントを、奏ちゃんからの愛情の証しだと思って、喜んで、待ち遠しくしていた。
だけど、わたしが本当に欲しいのは、奏ちゃんそのもの。
わたしにとって、奏ちゃんはかけがえのない人。代わりのいない人。失ったら、生きられない。本当に結婚してって意味じゃないの。ただ、絶対にわたしのそばから離れないって、その誓いが欲しい。
だから、プレゼントはもう抱えてこなくていい。代用品はいらない。今年のクリスマスは、想いの大きさの証しに、わたしを奪っていって。
「ねぇ、奏ちゃん、キスして」
わたしがお願いすると、奏ちゃんは黙ったまま、唇にフワッとキスを落とした。奏ちゃんの温もりを、ほんの一瞬だけ感じられるキス。
奏ちゃんがそれ以上、決してわたしに触れてくることがなくても、優しいキスは、いつでもわたしを幸せいっぱいにしてきた。それなのに、今日はなぜか悲しみが溢れてくる。湧き水みたいに。
きっと、弦哉があんなことを言ったせいだ。
「……ねぇ、奏ちゃんは、いつだってわたしのお願いを聞いてくれたよね? クリスマス、わたし、部屋で待ってるからね。いつまでも待ってる。だから、必ず会いにきてね」
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