泥棒がサンタクロース

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 去年のクリスマスには、モコモコのファーが付いたムートンブーツを買ってもらった。真っ赤なリボンを首に巻いたテディベアをプレゼントしてもらったのは、その前の、一昨年のクリスマス。  今年は何が欲しいのって、きっとそろそろ(そう)ちゃんが尋ねてくる。  奏ちゃんは優しいから、わたしのお願いを何だって聞いてくれる。  十二月に入ると、教室の空気は、なんだかフワフワと浮き足立つ。  冬休みが目前に迫っているからで、それはすなわち、クリスマスという、一大イベントの到来が迫っているからだということも意味している。  直前に越えなければならない、テストというハードルなんて見えていないみたいに、誰もが浮かれて、ただただその時を心待ちにしていた。 「きーちゃん、何聴いてるの?」  窓際の席で、机にお尻を乗っけた姿勢で、きーちゃんはスマホで音楽を聴いている。イヤホンから伸びる、ピンク色の紐はきーちゃんっぽい。  高校に入学して最初にできた友達は、リュックを背負って帰り支度万全のわたしを見て、ポニーテールを揺らし、ニッと口角を上げた。 「小夜子(さよこ)も一緒に聴こう。おもしろいよ。知らない曲とかも、けっこう入っていて」 「聴き放題のやつ?」 「期間限定でさ、クリスマスの」
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