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灼けるような陽射しの中、長井智也は大阪にいた。
自宅の福岡から遠く離れた大阪に来るのは久しぶりだった。
小学生の頃は、夏休みのたびに大阪によく来ていたが、中学生になってからの智也は夏休みが忙しかった。
智也は福岡で有名なサッカーのジュニアユースクラブに所属している。
夏休みはジュニアユースでの練習はもちろん、大会などへの出場などで、まとまった休みなどなかった。十五歳以下の全国ユース大会に出場するため、北海道にいたということもあった。
しかし、膝、腰、股関節など怪我を繰り返すうちに出場機会が失われていった智也は、ベンチ入りすることも減っていった。
中学三年となった現在、もはや出場のチャンスは、セカンドチームのみだった。トップチームの控えとしても帯同することはあるが、出場機会はなく、ユース昇格の可能性は絶望的だった。
今後の進路について考えていくうえで智也はサッカーを続けていくべきなのかも見失っていた。
そんな中、智也は今回の関西遠征に帯同した。
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