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男の子は目を覚ますと、ストーブの前のソファで毛布をかけて寝ていた。起き上がると、レイラが気づいた。
「あ! 起きたよ!」
サラが洗い物をしながら振り返る。
「あら、レイラ話を聞いてあげて」
サラが言うまでもなく、レイラはリアムの元に向かっていく。
「きれいな黒髪ね〜あなたは誰? どうしてこんな日に外を出歩いているの? 何でここに来たの?」
レイラの勢いに圧倒され、何も言えない。
「ねぇねぇ」
「あ……俺は、リアム。リアム・ムーア。旅の途中で、嵐にあって、道もよく見えないまま進んでいたらここの明かりが見えたんだ」
「へ〜旅してるんだ! 私はここから離れたことないから、羨ましいなぁ〜」
「ずっとここに? 街に降りたことないの?」
「うん。お母さんが街は怖いから行っちゃダメだって。でもお母さんがいるから寂しくないよ! リアムは一人?」
リアムは俯き、「今は、ひとり」と言った。
リアムのお腹がなると同時にトマトスープを持ったサラが来た。
「残り物だけど、よかったらどうぞ」
「ありがとうございます」
スープを受け取る。
「客人用の部屋はないのだけれど、レイラの部屋でいいかしら?」
「いえ! お構いなく。俺はここで」
「おいでよ! 魔法のカーペットあったかいんだよ!」
「魔法?」
リアムの表情が険しくなる。
「さ、今日は早く寝た方がいいわ。疲れているでしょう」
サラがリアムに微笑み、レイラを少し睨む。苦笑いでごまかすレイラ。その様子を見ながらトマトスープをすするリアム。
「あちっ」
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