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「私の確認ミスで、日にち間違えてて·····。明後日お休みを頂いていたんですけど、実は明日だったんです·····」
相手に見える訳では無いのに、申し訳なさそうな顔をしている。
「えっ?·····ん?うそっ!あれっ?えっ!?えっ!?本当ですか?·····あ·····、じゃあ、それで·····。すみません!お騒がせしました!」
ペコペコと頭を下げて電話を切ったママが、気まずそうに私を見た。
「ちゃんと休み取れたの?」
全く、どっちが子供か分からない。
ため息を付いた私に、ママはそっと口を開く。
「取ってた」
「え?」
聞き返す私に、ママはグッと口を噤んでから顔を背ける。
「だから!ちゃんと明日休み取ってた!私がスケジュール帳に写し間違えただけだったの!」
勢いに任せて言うと、ママは立ち上がった。
「もう!またそのパターン?」
逃げ出したその背中に向かって投げつけた声が、届く前にぽたりと床に落ちた気がした。
「前はあんなじゃなかったのになぁ」
その声を拾ったのは、おばあちゃんだ。
「どうかしたと?」
取り込んだ洗濯物をカゴいっぱいに持ってきたおばあちゃんの隣に座る。
畳みやすいタオルを手にして、手伝いながらママの愚痴をぶつけた。
「ママさぁ、向こうではすごくしっかりしてたのに、こっちに来てからなんか変なの」
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