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「そっかー、美桜もまだかー」
学校で学んではいたけれど、私にはまだまだ先のことだと気にもしていなかった。
「誰かもうなった人いるの?」
小さく手を挙げたのは、クラスで一番背の高いももちゃん。
それにつられるようにして、二人ほど手を挙げた。
「そうなんだー。大人やねー。羨まし」
びっくりした。
葉月は羨ましいと思っているんだ。
私は―――ちょっと怖い。
「全然よくないよ。おなか痛かし、めんどくさかし。本当に嫌になっちゃうよ」
ため息をつくももちゃんは、そんなところも大人っぽい。
「でも、大人になるって感じがするやん?ね、美桜、羨ましかよね?」
「え……うん。そうだね」
葉月の勢いに、思わずそう答えてしまった。
「大人なんていいもんじゃないと思うけど」
冷めた声を上げたのは愛姫。
「大変そうやん。税金とかなんとか、やたらとお金かかるし。結婚とかも絶対したくない」
なんだか意外だった。
「愛姫は早く結婚したいタイプだと思ってた」
愛姫は仲良くなる前の、いつもピリピリしていたときのような表情を浮かべている。
そういえば親のことをあまり良く思っていないようなことを話していたのを思い出した。
「私は恋愛だけでいいな。あー、恋したい」
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