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「ぶっ!何で歌音がそんなにびっくりするとよー!」
初めて見る歌音ちゃんの表情に、葉月も私も思わず笑ってしまった。
「私、美桜は太一のことが好きやと思っとった」
「あ!なるほど!」
私を置いて盛り上がる二人に、今になって焦ってしまう。
「ちょ!ちょっと待って!凜も太一もどっちも好きだけど、そういう『好き』じゃないよ。葉月や歌音と同じ、友達としての『好き』だよ」
両手を振りながら弁明する私を、二人が疑うように見つめる。
変な汗が出てきて、パタパタと顔を扇いだ。
「そうかなー?」
「美桜、正直に言ってみ。誰にも言わんけん」
あぁ、暑い。
今日は一段と太陽が照り付けてくる。
「何々?何の話?」
この声────。
「あ!湊人!ううん。なんでもなかよ」
葉月が慌てるのは当たり前だ。
お喋りな湊人に聞かれたら、すぐに広まってしまうに違いなかった。
「湊人、ありがと」
葉月と歌音の追求から逃れられた喜びで、振り向きながら言った私の目に飛び込んできたのは太一の顔だった。
「ぎゃ!太一!」
てっきり湊人だけだと思ったから、ついそんな声を上げてしまった。
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