8人が本棚に入れています
本棚に追加
「ぷぷぷ。じゃあね、美桜。ぼんやりしよったらいかんよ」
みんなは笑顔で私を見ている。
あぁ、恥ずかしい。
バイバイって手を振って一人帰りながらも、私は赤い顔で歩き続けた。
『好き』だなんて。
もちろん二人のことは好きだけど、その『好き』のことは考えてもいなかった。
「ただいまー」
「おかえり、美桜」
今日も、おばあちゃんの笑顔は私の癒しだ。
手を洗ってうがいをしてから、夕ご飯の支度をするおばあちゃんのそばで宿題をする。
ランドセルを開けてプリントを取り出そうとして、はっと思いだした。
途中まで引き出したプリントファイルには、太一がプリントしてくれたパパからのメールが入っている。
「今日は学校からのお知らせある?」
ある。
お知らせならある。
来月の中旬に予定されている授業参観のお知らせだ。
でもそのお知らせを見せるためには、一度プリントファイルを取り出さなければならなかった。
もしその時おばあちゃんに『それは何?』って聞かれたら、うまくごまかせる自信は無い。
「今日はね、なかったよ」
漢字ノートとお手本を取り出して、またランドセルを閉めた。
後で取り出して、忘れないように見せないと。
「そう?じゃあ宿題頑張らんね」
おばあちゃんは背を向けて夜ご飯の準備を続けた。
最初のコメントを投稿しよう!