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「な……何?」
いつもより高い声が出ちゃったけど、変に思われなかったかな。
「開けるよ?いい?」
「うん。いいよ」
椅子に座りなおして、適当なペンを手に持った。
「手紙書き終わった?」
振り向いたおばあちゃんの手には、お財布が握られている。
「うん。お遣い?」
一番近い商店まではやっぱり坂道を登らなきゃいけなくて、おばあちゃんの代わりにお遣いに行くことが多かった。
まあ、本当の目的はお遣いついでに買えるおやつなのだけど。
「そう。パン粉がちょっと足りんかも。立派なアジをもらったけんアジフライにしようと思って」
こっちで食べるアジフライは身がふっくらとして大きくて、私の大好物だ。
「パン粉、買ってくるよ」
立ち上がり、自分の財布を手に取った。
昔お祭りの時に記念セールで売られていた花柄の財布を気に入って使っているけれど、そろそろ子供っぽいかもしれない。
「ありがとう。パン粉一袋とあとは何か美桜の好きなおやつ買っておいで」
正直さっきのパパからのメールの衝撃がすごくておやつどころじゃないのだけど、ここはいつも通り笑顔でお金を受け取った。
「じゃあ、行ってきます!」
元気に家を出て、坂道を登り始めた。
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