とこしえの中でこそ

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 ツイッターやフェイスブックといったツールに存在意義を見出せなかった自分にとって、それは初めてのネット上での交流になった。  直球に、「前世の記憶があります。同じ方はいませんか」などと発信すれば、痛い人間だと思われるのは目に見えている。  ただでさえ信用されないことであろうことは百も承知だ。とは言え、無条件で前世を覚えている人を募っても、単なる遊戯としか捉えられない。  あれこれとしばらく悩んだ末、思いついたのはこのような文句だった。 「最近、生まれ変わりといった事柄がよく著書で取り上げられ、話題になっています。私は趣味で小説を書いており、次作の題材にこのテーマを使いたいと考えているのですが、もしそういった経験がある方がおられましたら、ぜひともお話を聞かせてください」  後から見返してみても、なかなかにひどい。しかし残念ながら、これ以上のものは思い浮かばなかった。  年齢以上に人生を経験しているはずなのに、少し自分が情けない。前からもう少し真面目に勉強していれば、もっと柔軟な頭になれただろうか。  正直期待はしていなかったが、実際にはちらほらと反応があった。  初めはほんの数人で、その中でも本当にそういった前世の記憶を持っているのだろうと思える人もいたが、嘘を言っているのだろうと思えるような人もいた。
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