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数か月かけて、四人、五人……と非常にゆっくりではあるが、徐々に反応してくれる人が増えてくる。
中には、前世の記憶を持っていることを少し不安に感じていたり、実際に会って話をしたいと持ちかけてくれたりする人もいた。
しかし、そうやって前世の記憶があると思われる数人から話を聞くことはできたとはいえ、それでもその記憶はかなり浅薄であったり、曖昧で確信を持てなかったりする人がほとんどだった。
やはり、自分のように鮮明に覚えている人や、何度も人生を繰り返している、という感覚を持っている人にはなかなか出会うことができない。
しかしこれも、歳を重ねるほどそういった記憶は薄れていくのが普通だというのだから、ただただ仕方がないことだった。
月日が経つにつれ、投稿に対しての反応も次第に無くなっていき、自分自身もそろそろ面倒だな、と思い出したころ。
二か月ぶりに、一件の通知が入った。
それは、たったの一行。至ってシンプルな内容だった。
『お役に立てるのであれば、最後にお話しさせてください』
この人が本当に、自分と共通点がある人なのかは定かではない。
これまでそれなりの人から話を聞いてきたが、残念ながらそれらが自分にとって有力なものになったことは一度もなく、わざわざ話してもらう人にも、少し申し訳なさを感じていた。
正直、今回は横流しにすることもできたのだが。
自分には、この「最後」という二文字が妙に引っかかっていた。
どっちにしろ、もういい。この人で終わりにしよう。
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