とこしえの中でこそ

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 待ち合わせた場所は、少し町に出たところにある、落ち着いた雰囲気のカフェだった。  待ち合わせ時刻のちょうど。店内の奥の席に座る、茶色の長髪にベージュのベレー帽を乗せて、スマートフォンを操作している女性が目に入る。 「こころさん……ですか?」  声をかける。女性はこちらを見上げると、優しそうな眼差しを灯す目の端を細め、自然な微笑を浮かべた。 「はい。こんにちは。あら、結構若い男の人だったんだ」  かなり気さくな印象だ。それでもまったく鼻につかない穏やかな口調で、初対面ではあるが全然気にならない。  今までそれなりにいろんな人を見てきたつもりだが、この人は今のところ人は良さそうに思う。歳は相手の方が少し上だろう。 「今日はお話を聞かせていただけるということで、直接会っていただいてありがとうございます」  席につくなりそう言うと、彼女はふふっと笑った。 「いいえ。そんなにかしこまらなくていいよ。多分そこまで歳も変わらないと思うしね」  彼女はそう言いながら、ドリンクのメニュー表を差し出す。 「いや、でもわざわざ遠方からここまで来てもらって……」 「ああ、そんなの気にしなくていいよ。こっちの方、全然来たことなかったからね。ほぼ旅行気分だよ。楽しい」  彼女はそう言うと、たまたま横を通りかかった店員を呼び止め、注文を済ませてくれた。 「それに、今までこんなこと話す相手もいなかったからねえ。全然現実的じゃないだろうし、自分からすすんで話すことでもないしね。だからちょっと新鮮かな」  明るく優しい雰囲気で、友人もかなり多そうなタイプだ。自分とはまるで正反対のようだが、果たしてどうなのだろうか。
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