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ただ、何となしに生きていたような気がする。
いや、「気がする」じゃなく、きっとそうだったんだろう。
白さが際立つ部屋の中。ほとんど力が入らなくなってしまった体に無理をさせてゆっくりと起き上がり、窓から見える外の景色を見ながら、この十数年を振り返っていた。
可もなく不可もなく、といった言葉が最も相応しい。今までの人生が特別いいものだと思ったことはないし、悪いものだと思ったこともない。
何か目指すものを作ることができて、それに向かっていく過程が、それを手に入れることができた瞬間が幸せなのだという言葉を耳にしたことがある。それでも、結局「終わり」は来てしまう。それが本当に上手くいくのかも分からない。
だから、自分は頑張ることをやめた。
前の自分だって、そうだったんだから。
後悔という観念とは、もう長い間疎遠だ。私は、特に目的を持たずにのうのうと生きてきたこの人生を後悔していない。今の自分が置かれたこの状況だって恨んではいない。
再びベッドに背を預け、白い天井を見上げた。薄くなっていく意識の中、またあの言葉が浮かび上がる。
――また次があるから、いいや。
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