とこしえの中でこそ

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 図書館内のフリースペースで、『生まれ変わり』の本を読み始めた。その本は全部で五章に分かれており、一章では「輪廻転生説について」や海外での「生まれ変わり」の証拠と思われる実例が挙げられている。  例えば、幼少期の少年が、自分の父親が幼かった頃のことを話したり、父親の母、つまり少年の祖母にあたる人物の若いころを知っていたりした事例があるらしい。  少年が生まれる数年前に祖父は亡くなっていて、その生まれ変わりであると話題になった事例のようだ。  他にも、これもまた幼い子供が、未解決殺人事件の犯人を特定したという事例もある。  前世でその子供は殺人事件の被害者であり、人生を跨いで犯人を確保することに成功したのだ。  そういった前世の記憶の他にも、母親の胎内にいた頃や、生まれてきた瞬間のことを覚えている人がいるというのも、時折耳にする話かもしれない。  その本によれば、人には必ず前世なるものが存在していて、それを大抵の人が覚えていないだけ、とのこと。  しかし、そういった記憶は年齢を重ねるごとにどんどんと希薄になり、物心がつく頃には忘れてしまうのがほとんどらしい。
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