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どのくらい経ったんだろう。ふとスマホで時間を確認をすると、あれから20分が経過していた。ちょうど行列の折り返し地点に三人はいる。
ということはあと20分くらいで注文できるかな、と奈乃果はスマホをスカートのポケットへしまう。
「高校生になったら漫画みたいな青春を送りたいよね」
そう言った楓ちゃんは、今日のホームルームで配られた二つ折りのパンフレットを見ていた。
そのパンフレットには、確か一年間の学校行事が書いているはず。ホームルームで配られた際に、中を見てからファイルに閉まったのを奈乃果は思い出す。
細かい内容は覚えていなくてパンフレットを覗き込む。続いて、千夜ちゃんも気になるのか覗き込んできた。
「近い行事だと林間学校かな」
「ここに書いてないってことは、修学旅行は三年生になってからかぁ」
「まだまだ遠いね~」
数年後の修学旅行よりも、何ヵ月後かに行く林間学校の方へ話は進んでいく。
班決めはどうするか、現実的なものから
それまでに彼氏ができてキャンプファイアーで踊りたい、など妄想まで。
他愛もない話で盛り上がっていると、ついに順番が回ってきた。
「いらっしゃいませ。ご注文をお伺いします!」
店員さんのハキハキとした接客と笑顔が出迎えてくれた。そういえば何の味にするか決めていなかったな…。
「おすすめってありますか?」
「そうですね…当店のオリジナルブレンドの茶葉を使用したミルクティーや、あとこちらのお味なども大変人気でして、よく買われるお客様が多いかと思います。」
「わ、美味しそう…!」
様々な味やトッピング、タピオカの種類などズラリと並んだメニュー表を見ながら考え込む。黒糖やミルクティーだと無難だけど、少し飽きつつあるんだよなぁ。
かといって冒険しすぎて美味しくないっていうのも嫌だし。
どのフレーバーにするか目移りをしていると、淡い桃色と濃いピンクで彩られたタピオカが目に入る。
「これって…。」
「はい、こちらは季節限定の桜になります。桜って変に甘じょっぱかったり、少し独特なお味がしたりと抵抗がある方がいらっしゃいますが、当店の桜は後味にこだわってましてとても飲みやすくなっております。
タピオカ自体もイチゴジャム風味となっていて、見た目も味も甘く可愛い一杯だと思います。
あ、私、個人的ですがミルク多めで頼まれるのが一番美味しいですよ!」
「それじゃあ、それでお願いします」
店員さんのマシンガントークに圧倒されつつ、桜フレーバーのタピオカを注文した。
今日はなんだか桜に縁があるのかも…?
楓ちゃんはチョコレート、千夜ちゃん抹茶ミルクをそれぞれ注文して、出来上がったタピオカを受け取った。
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