―冬は静かに願う―

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―冬は静かに願う―

 ほとんど、まともに話したことのないあなたに恋をしていると言ったら、あなたは笑うでしょうか。あのみんなに好かれるキラキラした笑顔で。それでも私はあなたが好きなのです。  あなたは常に私の前を歩いていました。眩しい光に包まれ、その力は時に嵐を呼んでしまうこともありますが、それすら愛しいと感じてしまいます。私にはみんなを照らすなんて出来ないことだから。  強い日差しに照らされて、汗を光らせ笑うあなたを、私はひっそりと見ていることしかできない。 そうだ。あなたは、私を勘違いしている。あなたが私のことを「クールだね。」と言ったという噂を聞きました。違うんです。私はクールなんかじゃない。ただ恥ずかしくて話しかけることができない、人見知り。いわゆる「チキン」というやつなのです。せっかくの機会にも共通の知り合いの背中に隠れて、目を見ることすらできずにずっと下を向いている。私が決心をして顔を上げて前を向いた時には、あなたももう前を向いていて。同じ方向を見ることしかできない。
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