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その瞬間、地面から強い光が発せられた。辺りを光が包み、視界が奪われる。
再び視界が戻った時、目の前に大きな人影があることに気が付いた。
まず、目に入ってきたのは黒、それは鋼鉄の姿であり、巨体であった。黒き甲冑を全身に纏った人型の魔物がそこに立っていた。
魔物は周囲を見渡した後、
「ふむ、呼ばれたか」
と呟いた。低い男性の声であった。言葉から、状況をある程度理解していると考えられる。
「あの、貴方が使い魔さんですか?」
思い切って声をかけてみると、
「ああ、貴様が我を呼んだ魔女か?」
と、やはりララティナのこともある程度理解しているようだ。しかし、見習いであるとまではわかっていないようだった。
「はい、ララティナと申します。えっと、急に呼び出してしまって……」
「待て」
ララティナは色々と説明しようとしたが、魔物は、その言葉を遮った。
「我は使い魔として、呼ばれたのだろう。堅苦しくする必要はない、楽にしろ。我と貴様は対等であるべきだ。契約とはそういうものだろう」
何だか小難しい言い方だが、言っていることは理解できた。要はもっと気楽でいいということだ。
「えっとね、実はまだ正式な魔女では無くって、これから、そうなる為の試練を受けるんだ。それに力を貸して欲しくて貴方を呼んだの」
それを聞いた魔物は、
「構わん、我等にとって、その辺りは大差ない。我を使い魔として召喚できたということ、こちら側としてはその事実だけで充分だ」
と、気にしていないようだ。
「そうなんだね、よかった。魔物さん?よく考えると名前もまだ聞いてなかったね」
「名前については、貴様の師と思われる女が、解説してくるだろう」
魔物の言葉に、ルルテアは苦笑いしながら、
「ララティナ、この黒騎士さんは鋭いわ。いい使い魔を召喚したわね。彼の言う通り解説するわ」
と、前置きして、解説を始めた。
「使い魔の名前は召喚者が名付けるのよ。名前というのは特別よ、これによって使い魔を自分の物とするの」
ララティナは、名前を付けると聞いて、悩み始めてしまった。
「な、名前ですか?そうですね。た……大切なことですよね、ちょっと待って下さい。考えます」
重要なことだと考えるララティナだったが、もう一人の当事者である魔物は、
「あまり、考える必要はないぞ。貴様の好きに付けるがいい」
と、案外軽いように感じられる。けど、彼の言う事も最もだと、ララティナも思った。ここで悩みすぎても仕方ないので、直感で決めることにした。
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