第2話 漆黒の鎧

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「良さそうね、さて、ここまでは師匠として、ここからは家族としての言葉よ」  そう言うとルルテアは、そっとララティナを抱き寄せ、 「ララティナ、正直に言うと私はとても心配なのよ。貴方には、魔女となるべき能力が備わっているとわかっているはずなのに」 と呟いた。 「ルルテアさん……」 「師匠としては失格かもしれないけれど、あえて言うわ。辛くなったら、いつでも戻って来ていいのよ。ここは貴女の家なのだから」  ルルテアは、優しくそう言った。その言葉は、ララティナにとってとても心強い言葉だった。  しばらくの沈黙の後、 「いけないわね、師匠の私が、こうでは。ララティナ、気を付けて行くのよ」 と言い、体を離す。  いよいよ旅立ちの時だ。ララティナは、帽子とマントを身に着け、箒に跨る。 「行ってきます」 「ええ、行ってらっしゃい」 「気を付けなよ」  ルルテアとハクジャに見送られ、出発する。  大地を蹴ると体が浮き上がる。重心を前に向けると、そのまま前へと進んでいく。前に進んだら、振り返らない、寂しくなってしまうからだ。 「ララティナよ、どこへ向かう?禁術の在り処はわかっているのか?」 「えっとね、まずは近くの町で、手がかりを探してみようと思ってる」  シュバルツに聞かれとりあえず、今の計画を説明する。  ララティナは、頭の中で地図を思い浮かべながら、口を開いた。 「ここから西に行くと、タルブという町があるの。この近くなら一番大きな町だと思う」 「なるほど、いい案だろう」  シュバルツは、極めて冷静に答えてくれる。 「にしても、何だか安心したな」  箒で飛びながら、ララティナは、呟いた。ララティナの体はマントの力によって外部からは見えていない。 「何のことだ?」 「シュバルツがいい人そうで、よかったってことだよ」  そう言うと、シュバルツは少し沈黙した後、 「いい人という訳ではない。我と貴様は、契約関係にある。貴様を守ることが我の使命だ。ギブアンドテイクというものだ」 と、冷たく言い放った。 「ま、まあ、それでもいいけど」  ララティナは、あまり納得できなかったが、気にしないことにした。  スピードを上げ、町を目指す。
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