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「光優、お前……昔の……いや、何でもない。落ち着いたら、帰って良いそうだ。帰りにペットカフェで何か食べよう。」
「伽藍ちゃん。うん、今日は騒動に巻き込んでごめんね。久し振りに直接話せると思ったんだけど……。」
何か言い掛けた伽藍だったが、一心不乱にモフモフに癒しを求める光優の姿を前に、聞くのを止めた。
「気にするな。俺も高校に入って、スマホを持った。いつでも、連絡できる。」
「そうなんだ!?海外赴任も有ったから、スマホ持ってないって言ってたもんね。」
LINE交換して嬉しそうな二人を見て、美彩緒も久し振りなのにこんなに仲良くなって…幼馴染みって良いわねぇ、と涙ぐんでいた。
仔犬と仔猫も画面を一緒に覗いて、よく判らないけど嬉しいの?楽しいの?見せて見せて~。とグイグイ引っ付いてくる。
要するに、二匹は光優と押しくらまんじゅうでギュウギュウしたいだけであった。
「池田の奥さん、どうやら、ひったくりの集団がこれで引っ張れそうです。ただ、拘留終わって出てくると……」コソッ
「わかりました。アタシも伝(レディース時代のアレコレ)がない訳じゃ無いんで、パトロール強化だけは御願いします。(あ、家に来たら泥棒ってことにして、一発ゴツンと……よし、これで行こう!!)」
染々と仲良い幼馴染みって良いわねぇ、と感動している美彩緒に馴染みの警官が耳打ちをした。
途端にキリッとした顔で、お辞儀をしながらお願いする美彩緒の脳内は、昔取った杵柄よろしく反撃する気満々だった(笑)
(え~と、あの子とあの子と……う~ん、良いや、昔のダチ全部に根回ししちゃえ!!)ピピピッ
某所、喫茶店経営のマスターのスマホに美彩緒のLINEが。
「ぁあん(怒)っんだよ、これは!!随分、調子乗ってる奴がいるねぇ。」ブツブツ
「あの、店長?どうしたんですか?」
「あらやだわ♪何でもないのよ~。さ、お客様来たわよ♪」
「………はぁ。(え~、なんだろう?変な店長。)」
その後、調子乗った若者の犯罪グループは、怖いおば様とおじ様集団によって、色んな意味でボコボコにされたそうな。
一方、警察から出ると、すっかりお昼になってたので、三人と二匹はペットカフェでランチをしていた。
「はぁ……思い出した。僕、お弁当持ってきてたのに、公園に放置してきちゃったよ。勿体ない……。」
「ああ!!そう言えば、持ってないね!?ちょっと輝美さんに、見てきて貰うわ。あらやだぁ、アタシったらエプロンとサンダルでモップなんて……」
「済まない……俺も気付いてなかった。お互いカバンは持ってきたんだが……」
カバンと財布は有る、だが何か足りないと気付いた光優がお弁当の存在を思い出すと、美彩緒も自分の部屋着姿を思い出した。
美熟女、眉とリップクリームだけの、ほぼスッピンである。
しかも、注文して食べてる途中なので、今更メイクしに帰るのも何だか手遅れ感が有る。
お弁当忘れても、モップと犬のお散歩一式セットは忘れてないのでその点は評価してほしい。
『ご飯美味しいね♪僕ね、今度は先にドーンって行けたよ。満足~。』ハグハグ
『ふぅ……光優のボディーガードも中々大変だな。隼人やこの伽藍とかいう幼馴染みならば、光優も嬉しそうなのに。』モグモグ
足元の二匹も、午前中だけでもうアクシデントはお腹一杯である。
飼い主と公園でお散歩~♪とワクワクしていた昨日のときめきを返せと言いたい。
「今、お父さんに連絡してお弁当箱回収して貰うことになったよ。でも、イタズラをされてたり、傷んでるかも知れないから、結局は食べられないよ。」ピッ…
「アタシはこの格好で、モップ持って家まで帰るのが、恥ずかしいわぁ。何で今日に限って上下スエット着ちゃったかしら~。気を抜いてたわぁ。」モグモグ
ペットカフェで入店した時も、スタッフの人にも常連のいつにない超部屋着!!な格好を驚かれたのだ。
「あぁ……でも、来てくれて心強かったよ。お母さん、格好良かったよ。サンダルのコントロールとか。」
「いやぁだぁ、もうっ!!光優ったら、そう?お母さん、格好良かったかな!?子供のピンチに駆け付ける母親!!うんうん、そうよね!!ぐふふふふ…」バンバンッ
照れ隠しに息子の背中を、バンバン叩く美彩緒だった。
「あ、わわっ!?ご飯食べられないよ、お母さん!?」
「ぬふふ……おっと、失敗。ゆっくり食べてね、光優。伽藍ちゃんも遠慮せずに!!ささっ、たんとお食べ。」キリッ
(いや……そんなに俺までガン見されたら、食べにくいんだが!?)ムグムグ
ニコニコしながら自分達を見る美彩緒と、ピラフ美味しい♪サラダ可愛い♪と女子みたいな反応をしながらゆっくり食べる光優に挟まれて、ツンデレ男子高校生伽藍は、急いで口に料理を詰め込んだ。
足元の二匹も食べ終わって、既にうつらうつらしている。
犬でも猫でも、子供というものは突然電池が切れるのだ。
「お昼からは光優を送っていって、アパートの引っ越しの相談よ。伽藍ちゃんには本当に悪いことしたわね。」
「……いえ。今日は一日、休みですから。こちらこそ光優を呼び出した形になってスミマセンでした。」ペコリ
相沢さんちの御子息は、この年にして落ち着きすぎだった(笑)
「伽藍ちゃん、伽藍ちゃん!!デザートのイチゴムースにチョコ入ってるよ!?」
「俺のは普通に抹茶ケーキだったから知らん。」
端っこ食べるかい?と差し出してくる池田さんちの長男は逆に年の割りに所々ぽや~としていた(笑)
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