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「あんたも成長しないわねぇ……そんなこと言ったら酷い目に遭うのがわからないの?」
額に無数の血管を浮き出したお姉さんが、ニコニコ笑顔で優しく語りかけます。そのギャップが非常に恐ろしいです。
あざのできた額を抑えて、青山くんが言い返します。
「や、やってる張本人が言うことじゃねぇ! だから彼氏もできねえんだよ」
「うるさいわね! それとどんな関係があるってのよ!」
「あるわ! 姉ちゃんが暴力ばっか振るうから男が逃げてくんだよ!! 今年で何人逃げられたんだよ!!」
「違いますし!? まだたったの6人目だし!? これからだっての!!」
「いい加減やめてくれよ! 姉ちゃんが男と良いところまで行くたびに『ごめん、家庭的な女性がタイプだから……』って言われてフラれるの、もう聞きたくな……」
「ゆんゆんちゃんの前で変なこと言ってんじゃないわー!!!」
今度は手帳が凄まじい速度で投げられて、青山くんに命中しました。
満身創痍の青山くんは倒れるのを尻目に、お姉さんは思い出したかのように慌ててわたしに言いました。
「ち、違うの!! 違うんだって!! あのね、私は本当はこんなに暴力的じゃないから!! 弟相手だけだから!!」
「……う、嘘つけ……」
「うるさい!!」
とどめのボールペンが飛んでいきます。青山くんは三度倒れます。
「と、とにかく食べよう!! もうお腹ぺこぺこだから!! ねっ? ほら、遠慮しないで食べなよ!!」
まるで自分が作ったかのように振る舞い、青山くんのお姉さんはわたしを席に着かせました。
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