二章 It`s a piece of cake

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「あんたも成長しないわねぇ……そんなこと言ったら酷い目に遭うのがわからないの?」 額に無数の血管を浮き出したお姉さんが、ニコニコ笑顔で優しく語りかけます。そのギャップが非常に恐ろしいです。 あざのできた額を抑えて、青山くんが言い返します。 「や、やってる張本人が言うことじゃねぇ! だから彼氏もできねえんだよ」 「うるさいわね! それとどんな関係があるってのよ!」 「あるわ! 姉ちゃんが暴力ばっか振るうから男が逃げてくんだよ!! 今年で何人逃げられたんだよ!!」 「違いますし!? まだたったの6人目だし!? これからだっての!!」 「いい加減やめてくれよ! 姉ちゃんが男と良いところまで行くたびに『ごめん、家庭的な女性がタイプだから……』って言われてフラれるの、もう聞きたくな……」 「ゆんゆんちゃんの前で変なこと言ってんじゃないわー!!!」 今度は手帳が凄まじい速度で投げられて、青山くんに命中しました。 満身創痍の青山くんは倒れるのを尻目に、お姉さんは思い出したかのように慌ててわたしに言いました。 「ち、違うの!! 違うんだって!! あのね、私は本当はこんなに暴力的じゃないから!! 弟相手だけだから!!」 「……う、嘘つけ……」 「うるさい!!」 とどめのボールペンが飛んでいきます。青山くんは三度倒れます。 「と、とにかく食べよう!! もうお腹ぺこぺこだから!! ねっ? ほら、遠慮しないで食べなよ!!」 まるで自分が作ったかのように振る舞い、青山くんのお姉さんはわたしを席に着かせました。
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