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「っ!!」
あまりの重力加速度に恐怖し、目を大きく開くと、そこは夜空ではなく、青山くんの家のベッドでした。
すぴー、と傍からいびきが聞こえてきます。額から流れる汗など気にせず、恐る恐る目線を動かすと、気持ちよさそうに眠る青山くんの姿がありました。
右手がスマホの画面に触れてしまい、ぱっとロック画面が暗闇に浮かび上がります。時刻は午前3時過ぎ。まだ夜は明けていません。
──夢、だったのでしょうか。
ごしごしと目を擦り、恐る恐る全身を触ってみます。顔、首、髪の毛、胸、お腹、背中、お尻、太もも、足先。ちゃんと実態があり、ここが現実だということを認識し、非常に安堵しました。
本当に酷い悪夢です。これはわたしの脳内で作られたものなのでしょうか。一体わたしのどんな経験がこねくり返されて、こんな混沌とした夢が出来上がるのでしょうか。
──夢にしては、いろいろと、すごくリアルだったのですが。
「……どうしたんだ、ゆんゆん、眠れないのか?」
わたしがもぞもぞと動いたせいで、青山くんまで起きてしまいました。
わたしは努めて冷静に、答えました。
「大丈夫です。少し喉が渇いてしまって。良ければ水道水でももらっていいですか?」
「なんで水道水なんだよ。冷蔵庫にお茶が入ってるから、そっち飲めよ」
「では、お言葉に甘えて。ありがとうございます」
飲み物でも飲んで、気持ちを一度整理させて寝ようと思い、わたしは青山くんの傍を通り抜けて、リビングに降りていきました。
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