二章 It`s a piece of cake

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「も、もうそろそろ急がねえとな! 御馳走様! あぁ忙しいなぁ!」 大根役者でも失笑するほどの演技をしながら、青山くんはドタバタと音を立てて洗面所に行きました。 お姉さんは、苦笑いを浮かべてわたしに向き合います。 「ごめんね。あいつ結構ガサツな割に、妙に照れ屋なとこあるの」 「……はい。それはよくわかります」 「あ、やっぱりやらかしたの?」 「お弁当やパフェの食べさせ合いの時に、青山くんはウサギのように逃げ出すのです」 「……あんた、顔に似合わずなかなか大胆なことするわね」 「そ、そうでしょうか?」 わたしとしては、カップルとしてやる常識的なこととして捉えているのですが……。 学力については心配ないのですが、社会常識については自信がないため、もう少し勉強しなくてはいけませんね。 「さて、御馳走様。歯磨きとかは昨日あげたやつ使ってね。シャワーとかも浴びたかったら使って。あたしはもう行くから」 そう言って、お姉さんは手早く着替え始め、一瞬にして大人の色気が漂うビジネスウーマンに変身しました。 「お姉さんは、もう行くのですか?」 「うちんとこ、仕事早いんだー。まあでも、守も6時には出発するから、ゆんゆんちゃんもあと30分で準備したほうがいいわよ。シャワーとか浴びとく?」 「い、いえ……結構です」 「そ。まぁ遠慮なく使ってねー。あと──おい守! ゆんゆんちゃんきちんとエスコートしてきなさいよ! わかった?」 「うるせえよ!! 早く行けって!!」 そして、お姉さんは出て行き、わたしも手早く準備を終えて、青山くんと一緒に家を出ました。
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