二章 It`s a piece of cake

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「で、そこを曲がったら学校だ。ほら、見えるだろ?」 いつもと違う通学路に悩みながら、わたしたちは無事に香椎山高校の門に辿り着きました。 他に登校している生徒はいないと思いきや、運動部の方々が既に運動場でランニングをしていたり、武道場で稽古をしていたりと、思っていたよりも皆さんの朝は早かったようで、少しびっくりしました。 「さて、教室着いたら宿題しねえとな。ゆんゆん、頼んだ」 「……ええ。ただし、今日は特別ですからね。昨日の分の、お返しですから」 「うんうん、そう言ってくれると思ったぜ。さすがゆんゆん! その眼鏡は伊達じゃねえな! 伊達眼鏡だけに! なーんつって! あはははは痛い痛い痛い痛い痛い悪い悪かったから離してください!!」 りんごを握り潰すように青山くんの頭を右手でぎゅっとしてやると、運動部員にも負けないくらい元気な声が出ました。 気を取り直して、靴箱に2人で歩き出そうとしました。 その時です。 「はははっ! 朝からずいぶんご機嫌ね? お二人さん!」 背後から、こちらもずいぶんご機嫌な笑い声が聞こえてきました。 紡木さんです。こちらは寂しいことに、1人で登校してきたようでした。
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