二章 It`s a piece of cake

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「と言うわけで、誕生日パーティに参加したい人を募集するわ! ごちそうの量とかケーキの大きさとか、変えなきゃいけないからね」 ごちそう。ケーキ。迂闊なことに、素敵なワードに食欲センサーが反応し、耳がぴくりと動いてしまいました。 ですが、平常心を装って卵焼きに箸を伸ばしました。 「締切は、今週の金曜まで! だからまぁ、締め切りまであと4日だから。参加したい人はあたしに言いに来てね! それじゃよろしく!」 最後にそう締めくくって、紡木さんの話は終わりました。 そしてまた、何事もなかったかのように昼休みが再開から、クラスメイトたちはお喋りを始めました。 「へぇ、誕生日パーティか。紡木のやつ、去年もやってたっけかな。金持ちだからきっと豪華なんだろうな」 「興味ありません。それよりもこの卵焼き、絶品です。唐揚げも。食べないなら全部食べてもいいですか?」 「あ、あぁ別にいいけど……どうしようかな、パーティ。飯だけ食いに行こうかな」 「ならわたしの分も取ってきてくれませんか。お料理だけには興味があるのです」 「嫌だよ。ならゆんゆんも行きゃいいだろ」 「無理です。多分わたしは、紡木さんに嫌われていますから」 「それは……」 何故か言い淀む青山くんでしたが、それ以上は何も言うことなく、ほうれん草のお浸しをもぐもぐと食べ始めました。
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