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全身の血液が強く波打ち、心臓に電気ショックを与えたような、衝撃が起きました。
「うっ、あっ、うぅっ……」
咄嗟に両手で胸の辺りを抑えると、肩に背負っていた鞄は道路にずれ落ち、足が崩れて倒れ込んでしまいました。
「お、おい!? ゆんゆん!?」
青山くんが血相を変えて駆け寄り、わたしの傍にしゃがみ込みます。
わたしは、「平気です」と伝えようとしましたが、先程よりもっと酷い痛みを感じて、叫び声を上げてしまいました。
「あ、ああぁぁぁ!!! う、ううっ、ぐ、ああああぁっ!!!」
只事ではないと判断した青山くんが、ポケットからスマホを取り出すのを見て、わたしは渾身の力を振り絞って言いました。
「通報しないで!!!」
ちょうど耳にスマホを当てた青山くんが、わたしの叫び声を聞いて動きを止めました。
「通報だけは……しないで。お願い……だから」
弱々しい声で、わたしは再度お願いしました。
青山くんは、もう何が何だかわからないと言いたげな表情でしたが、すぐに首を横に振ってわたしに駆け寄り、優しく抱き起しました。
「痛いか!? 大丈夫か!? 待ってろ、すぐ家に運んでやるからな! もう少しの辛抱だからな!」
そう言って、青山くんはわたしを背中に背負うと、振動が伝わらないように、ゆっくりと、しかし急ぎ足で家に向かいました。
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