ゴールデンウィーク

2/3
前へ
/15ページ
次へ
せっかくのゴールデンウィーク…なのに!  仕事やれって、長山が!あー最悪~! あ、一応帰るって連絡してたんだった。  仕事中、休憩時間にスタジオの隅で妻の愛良に電話してみた。  「はぁ~い」  「あ、愛良?有太だけど」  「はぁ、なに?」  「あの、俺やっぱ仕事入った。だから帰って来れないんだよね~」  「そうですか」 そ、そんだけ?  「ごめんな~?帰って来るって言ってたのに」  「いえいえ。愛良は勝手に実家に帰るから大丈夫で~す!」  「あ、そう…」  「それでは頑張って!」 なんか、元気そう。そして電話は切られた。さらに俺の心は傷ついた。 つまり~俺ってどうでもいいってこと? はぁ~ショック!  「小暮さん!どうしたんですか?」 こそこそしてたら、萩原がやって来た。正直今話す気はないから、シカトしよう。  「まさか、借金したんですか?」 うざ~反応しちゃだめだ。  「あれ?違うんですか?じゃあ、身長が伸び悩んでるんですか?」  意味がわからない!目を合わさずそのまま歩いたが、なぜかついてくる。  「あのー?小暮さ~ん?大丈夫ですか?まさか!風邪ですか?…いやでも、バカは風邪ひかないんですよね~」 しつこいな!  「小暮さんが風邪だったら、なんか面白いですよね!」 ブチっと、俺の中でなにかが切れた。 ついに、無視できなくなった。  「おい。萩原てめー」  「ひ!聞いてたんですか!」  「ふざけたこと言ってんじゃねぇぞ!」  「風邪大丈夫ですか?」  「風邪じゃねぇし!」  「あ、やっぱり?バカは風邪ひかないんですね~納得です」  「おい、萩原。それ以上言うとてめぇの恥ずかしい写真をばらまいてやる。それでもいいのか!」  「や、やめて下さい!俺をいじめないで下さい!」  「萩原、もう許さねぇ!」  「こ、小暮さんすいません…。許して下さい!」  「やだね!いじめたとか言ったしー」  「そこをなんとか!」  今更謝られてももう遅い。俺は完全にきれてる。  「やだ!」  「…なんかただこねた子供みたいですね」  余計な一言多すぎだこんにゃろー!  「絶対許さねぇ!萩原!」  「え?何でですか?」  理解してないだと?…萩原とはもうしゃべらない!  俺をバカにしやがって!  「小暮さん…どうやったら許してくれますか?」  「俺に明日休みをくれ」  「無理です。社長に直接言って下さい」  「社長と話てこいよ!」  「え~無理ですよ。社長は今日はいないですから」  「じゃあ明日言っとけ!俺は家に帰るから」  「え~!?そんな~!俺が怒られますよ!」  「じゃあよろしくな!俺もう帰るから」  「え、え~?待って下さいよ~」 むかつくから明日はなにがなんでも休んでやる! 「さよなら萩原。言わないと許さねぇからな!お前が言ったんだからな」  「えー!そんなあ~」  半泣きの萩原。ふっ!全て萩原が悪い。責任を押し付け、俺はさっさと仕事場から立ち去った。  愛良に電話しよう。  「はぁ~い」  「あ、有太だけど」  「え?どうしましたぁ?」  「やっぱり休めた。今どこ?」  「もう実家に着いちゃった」  「はぁ~!?なんで?今日電話したときは…」  「すみませ~ん!すでに実家だったのー。有太さんたぶん仕事だと思ってたからさ~」 がーん。俺ってやっぱり必要ない存在なのか…。  「俺どうすれば…?」  「うちの実家に来たらいじゃないですかぁ!子供たちもみんないるしー」  「そうなんだ、わかったよ」  「それじゃお待ちしてまぁす!」  切られた…。  結局愛良の実家に行くことになってしまった。実家は青森。東京から新幹線で行けるところだ。  愛良の実家では、毎回緊張してしまう俺。あぁ、疲れそう。  青森に到着した駅から実家までタクシーで1時間かかる。なぜなら林檎農家で山奥暮らしだからだ! やっと着いたのはその日の夜中の0時。夕方出発したのがミスだったなぁ…。 みんな寝てて家入れなかったらどうしよ~と心配しつつ、玄関のチャイムを鳴らしてみる。 ピンポーン。  「はぁ~い」  愛良の声だ。よかった、起きててくれたんだ…! ちょっとウルッときた。 ガラガラと戸が開いた。  「お疲れ様~。どうぞ~」  「愛良、起きてたんだね」  「はい!今家族でDVD見てて!」 は?  愛良はさっさと居間に消えてしまった。 ちょっと!俺一人にしないでぇ~ とりあえず居間に荷物を持って行ってみた。  「こんばんは。小暮有太です。夜分遅くにすみません」 と、挨拶したが…愛良とその父母はテレビをめっちゃ見ていた。無視された。  「あの!」 ちょっと大き目な声で言ってみた。  「あら~いらっしゃーい」 とお義母様。  「今日はゆっくり休みなさいね」 とお義父様。  「そうそう、寝なよ!おやすみ~」 と愛良…。 みんなテレビしか見てないよ? あー、本当に疲れたし寝よう。  愛良の部屋へ行き、布団にダイブ。そんで即寝だった。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加