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せっかくのゴールデンウィーク…なのに!
仕事やれって、長山が!あー最悪~!
あ、一応帰るって連絡してたんだった。
仕事中、休憩時間にスタジオの隅で妻の愛良に電話してみた。
「はぁ~い」
「あ、愛良?有太だけど」
「はぁ、なに?」
「あの、俺やっぱ仕事入った。だから帰って来れないんだよね~」
「そうですか」
そ、そんだけ?
「ごめんな~?帰って来るって言ってたのに」
「いえいえ。愛良は勝手に実家に帰るから大丈夫で~す!」
「あ、そう…」
「それでは頑張って!」
なんか、元気そう。そして電話は切られた。さらに俺の心は傷ついた。
つまり~俺ってどうでもいいってこと?
はぁ~ショック!
「小暮さん!どうしたんですか?」
こそこそしてたら、萩原がやって来た。正直今話す気はないから、シカトしよう。
「まさか、借金したんですか?」
うざ~反応しちゃだめだ。
「あれ?違うんですか?じゃあ、身長が伸び悩んでるんですか?」
意味がわからない!目を合わさずそのまま歩いたが、なぜかついてくる。
「あのー?小暮さ~ん?大丈夫ですか?まさか!風邪ですか?…いやでも、バカは風邪ひかないんですよね~」
しつこいな!
「小暮さんが風邪だったら、なんか面白いですよね!」
ブチっと、俺の中でなにかが切れた。
ついに、無視できなくなった。
「おい。萩原てめー」
「ひ!聞いてたんですか!」
「ふざけたこと言ってんじゃねぇぞ!」
「風邪大丈夫ですか?」
「風邪じゃねぇし!」
「あ、やっぱり?バカは風邪ひかないんですね~納得です」
「おい、萩原。それ以上言うとてめぇの恥ずかしい写真をばらまいてやる。それでもいいのか!」
「や、やめて下さい!俺をいじめないで下さい!」
「萩原、もう許さねぇ!」
「こ、小暮さんすいません…。許して下さい!」
「やだね!いじめたとか言ったしー」
「そこをなんとか!」
今更謝られてももう遅い。俺は完全にきれてる。
「やだ!」
「…なんかただこねた子供みたいですね」
余計な一言多すぎだこんにゃろー!
「絶対許さねぇ!萩原!」
「え?何でですか?」
理解してないだと?…萩原とはもうしゃべらない!
俺をバカにしやがって!
「小暮さん…どうやったら許してくれますか?」
「俺に明日休みをくれ」
「無理です。社長に直接言って下さい」
「社長と話てこいよ!」
「え~無理ですよ。社長は今日はいないですから」
「じゃあ明日言っとけ!俺は家に帰るから」
「え~!?そんな~!俺が怒られますよ!」
「じゃあよろしくな!俺もう帰るから」
「え、え~?待って下さいよ~」
むかつくから明日はなにがなんでも休んでやる!
「さよなら萩原。言わないと許さねぇからな!お前が言ったんだからな」
「えー!そんなあ~」
半泣きの萩原。ふっ!全て萩原が悪い。責任を押し付け、俺はさっさと仕事場から立ち去った。
愛良に電話しよう。
「はぁ~い」
「あ、有太だけど」
「え?どうしましたぁ?」
「やっぱり休めた。今どこ?」
「もう実家に着いちゃった」
「はぁ~!?なんで?今日電話したときは…」
「すみませ~ん!すでに実家だったのー。有太さんたぶん仕事だと思ってたからさ~」
がーん。俺ってやっぱり必要ない存在なのか…。
「俺どうすれば…?」
「うちの実家に来たらいじゃないですかぁ!子供たちもみんないるしー」
「そうなんだ、わかったよ」
「それじゃお待ちしてまぁす!」
切られた…。
結局愛良の実家に行くことになってしまった。実家は青森。東京から新幹線で行けるところだ。
愛良の実家では、毎回緊張してしまう俺。あぁ、疲れそう。
青森に到着した駅から実家までタクシーで1時間かかる。なぜなら林檎農家で山奥暮らしだからだ!
やっと着いたのはその日の夜中の0時。夕方出発したのがミスだったなぁ…。
みんな寝てて家入れなかったらどうしよ~と心配しつつ、玄関のチャイムを鳴らしてみる。
ピンポーン。
「はぁ~い」
愛良の声だ。よかった、起きててくれたんだ…!
ちょっとウルッときた。
ガラガラと戸が開いた。
「お疲れ様~。どうぞ~」
「愛良、起きてたんだね」
「はい!今家族でDVD見てて!」
は?
愛良はさっさと居間に消えてしまった。
ちょっと!俺一人にしないでぇ~
とりあえず居間に荷物を持って行ってみた。
「こんばんは。小暮有太です。夜分遅くにすみません」
と、挨拶したが…愛良とその父母はテレビをめっちゃ見ていた。無視された。
「あの!」
ちょっと大き目な声で言ってみた。
「あら~いらっしゃーい」
とお義母様。
「今日はゆっくり休みなさいね」
とお義父様。
「そうそう、寝なよ!おやすみ~」
と愛良…。
みんなテレビしか見てないよ?
あー、本当に疲れたし寝よう。
愛良の部屋へ行き、布団にダイブ。そんで即寝だった。
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