小学生時代

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「姉ちゃんおはよう」  「あら、有太おはよう。朝ご飯作ったの?」  「うん」  僕はいつも姉ちゃんよりも早起きして、朝ごはんを作る。  「偉いわね~。あ、そうそう!加奈ね、今日もモデルの仕事だから」  「……分かった」  姉ちゃんばっかり仕事させて、僕は何をやってるんだろう。そんなこと言っても、小学生の僕には仕事は無理だよね…。と考えてる間に姉ちゃんは食べ始めた。  「うんうん、有太の料理おいしいわ!」  今日のメニューは目玉焼きにソーセージにハム。たいしたものじゃない。  「そう?」  「小学生にしちゃ、うまいわよ?」  「…そっか」 あまり褒められてる気がしないな。  「それじゃ食べたし、行ってくるわね」  「はぁい」  姉ちゃんはそのまま行ってしまった。 あーあ…また一人だ。  一人になると、時計の音、冷蔵庫の音、風の音が嫌に響く。…なんか寂しい。 …そうだ。姉ちゃんのために出来ること見つけなきゃ。できることって、やっぱり料理しか思いつかないや。  姉ちゃん、休みの日まで仕事なんて、ありえないよ。しかも東京と奄美往復だよ?なんでそんなに無理するんだろう。 …僕も早く仕事したいな。 次の日の朝、思いもよらないことが起きた。  「有太おはよー!ただいま!」  姉ちゃんの声で無理やり起こされた。  「おかえり?……あれ、まだ6時じゃん」  「あのさっ、私今日から一週間撮影なのよ~。それで有太一人を置いてけないから、あんたも一緒に行かない?」  「えっ、撮影見ていいの?」  「いいと思う!一人留守番よりいいっしょ?どうせ今春休みだしね?」  「うん。行ってみたい!」  「じゃあ決定ね。ささっと準備しなさい!あと30分したら行くわよ~」  「…ってか自分勝手だよ!昨日言ってくれたら準備してたのに!」  「だって~。しょうがないじゃん?」  意味わかんねぇ…。ってゆうか姉ちゃん自己中過ぎだよ…。でも…もしかしたらチャンスかも!姉ちゃんと同じ職場で働けたりして…? そんなことを考えながら、身支度をした。
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