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今日も撮影なのであった。
「おはようございま~す」
はぁ、やる気でねーなー
「おはようございます!小暮さん」
「よっ!萩原。お前さ、なんか太った?」
「い、いきなりなんですか~!全く太ってません!」
こちら同僚の萩原。年下でグルメヲタ。常に新しい店をチェックする。俺は食べたいものは自分で作るので外食はあまり好きじゃない。
金の無駄ってヤツだろ…萩原の野郎は。
「あれ?小暮さんは、痩せました?」
「…そうか?痩せた…か?」
「…ん~というよりは痩けたような…はっ!すみません!」
「…なにぃ~お前ふざけんなよ!萩原の分際で!」
「わ~すみません!ストレスで八つ当たりしないで下さい!」
「てめ~!なめんな!」
「と、ところでまた毎日ジム通いなんですか?」
「は?…まあそうだけど。ってか黙れよ!」
「…す、すみません。小暮さんジム代高いんじゃ…ないですか?」
「は?…まぁ多少はね」
「小暮さん、貧乏性なのに…すごいっすね」
萩原は明らかにバカにしている。
「なにぃ~!萩原め!」
「ひぃ~凶暴だー!」
…金の使い方、間違ってねぇよ。
ジムは健康のためだし!
…萩原よりは、金無駄にしてねぇ!
むかつくから、萩原から離れた。
「おはようございます」
「あっ、翼さん!」
「遅れてすみません。撮影始めてましたか?」
こちら先輩の翼さん。カメラはプロ級だ。俺も一応プロなんだけど、プロが認める的な?
それに身長がめっちゃ高い…羨ましいほど。
「いえ!まだです」
「さっき、萩原くんと何か揉めていましたか?」
「えっ…いやぁ…そう、ですね」
あーあ、子供っぽいって言われてしまう。
「何かあったんですか?」
「別に何も。関係ないですよ?」
「気になりますね。ぜひ教えて下さい」
翼さんなんか怖い…。
「え~っと、俺がジムに行きすぎだって萩原に言われて…金の無駄だってあいつバカにするんです」
「なるほど…小暮さんは暇なんですか?」
「いえ、そういうわけではないんです。体力が欲しいんです…」
「十分あると思いますよ?」
「いや!まだまだです」
「こだわりがあるんですね。もしかして、身長がトレーニングすると伸びると思っているんですか?」
「…いぇ…べ、別に」
身長のこといじられた。
「そうなんですか?今からじゃ、もう伸びないと思いますけど」
「…」
そ、そこまで言わなくても…。
「では、今から撮影の準備にとりかかるので、失礼します」
「はぁ…」
完全にバカにされたよ、俺。
翼さんは準備のため消えた。
ってか萩原のせいでこんな話になったんだよ!あいつ最悪。
むかむかして、その辺にあった空のゴミ箱を蹴った。
「小暮君」
げっ…来やがった。
「なんですか?長山さん」
こいつは長山。俺より年上すぎるほど老けたじじい。七三にいつもしてて、俺より背が低い。しかも未婚。笑えるぜ。
「君、何やつあたりしてるんだ?」
「別に。関係ないです」
「仕事場ではしっかり仕事をしてくれ」
「分かってますよ!そんなこと」
「なら、さっさと仕事してくれ」
「分かってます。いちいち言わないで下さい」
「小暮君、君はまったく、いつもそうじゃないか」
「知りません。撮影するんで、長山さんジャマです」
「…」
言い返せねーじゃん。うけるー
俺はこのように日々カメラマンたちと奮闘している。
まっ、長山以外は普通だけど…
俺の中で唯一のストレスは、愛良(妻)が電話してくれないこと。俺のこと嫌いなんだろうか…?
毎日でも電話して欲しい…。だけど俺から頻繁にってのもどうなんだ。ってことでこちらからは、電話は控えている。
暇だからジムに行くしかないんだ!
これは誰にも言えないけど。
料理を作るのもいいけど、食べてくれる人がいないとつまらない。
料理人になるか考えたこともあったけど、カメラマンは辞めたくない。
俺は悩んでばかりだな。
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