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第9話 亜弥のお礼デート
「東郷さん、この間は 助けてくださって 有り難うございました。 何か恩返しがしたいと思ったんですけど、こんな風に食事とかドライブとかに私が付き添う事で良かったんですか?」
「いや……私の方こそ、亜弥さんに ご一緒して戴いて申し訳無い。 念願のデートが出来て嬉しいよ……。」
「それなら良かった。 お礼も含めて東郷さんには今日は良い気持ちになって貰わないと……。」
亜弥に出会った頃の東郷は強気で厚かましく……
亜弥にデートを強要するようなキャラクターだったが、二人の間にいろいろな事が有って、
今は紳士で頼れる存在に東郷は成っていた。
亜弥は義兄のヒロシと関係を結びながらも……
東郷の事を心憎く思わない自分を感じている。
「亜弥ちゃん……」
東郷はデートの途中で亜弥を見つめた。
「先ずは友達に成ってほしい……
私が君の事を好きなのは変わらないが、
紳士としてフェアに付き合いたい。」
「分かったわ……じゃあ今日から東郷さんと亜弥は友達ね。 これは友達に成った証の握手よ。」
差し出した亜弥の手を握った東郷は照れていた。
……………
「ヒロシ兄ちゃん……今日、東郷さんと友達に成ったの……。」
ヒロシは何も言わずに亜弥を抱き締めた。
「お前は立派な大人だ……。 誰と友達に成るのも……誰をパートナーに選ぶのもな……。」
亜弥は訳もなく涙が出てヒロシに しがみついた。
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