15年目の、愛してる【差分】

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 途端に、遥人の手がポケットからいなくなった。 「今日、お祖母ちゃんの家に寄って帰るから、ここで」 「え?」  ごめんね、と軽やかに行ってしまう遥人を、拓は見送るしかなかった。  そんなぁ。  キス……。  一度は遥人から視線を離し、歩き出した拓だったが、諦めがつかない。 「あのさ、遥人」  振り返り、すでに人ごみの中に入ろうとしている遥人に、声をかけた。  俺も一緒に、お祖母ちゃんの家に行くよ。  そう、言うつもりだった。  そこへ、突然車道から軽トラックが歩道へ突っ込んできたのだ。
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