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「何ですか、拓先生」
いつものように親し気に、遥人はやって来た。
「卒業の日に呼び出しだなんて、逆御礼参り?」
それとも、とそこで、いたずらっぽい表情を作る。
「愛の告白、とか!」
どこまでも明るく軽やかな遥人が、今は悲しい。
拓は、3年間言えなかった言葉を心に唱えた。
そして、最後に少しだけ決心が揺らいだ。
今、ここで真実を告げずに遥人を解放すれば、彼は真に新しい人生を送れる。
新しい命を、手に入れることができるのだ。
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