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いつものように大樹に連絡袋を渡して、
送り出した。
“今週こそは、晴れてくれますように。”
そんな思いものせて、てるてる坊主を余分に
ひとつ作って群れの中に紛れ込ませた。
それから、ニュースの週間天気予報を確認する。
今のところ、次の課外授業の日は雨では
なさそう。
それを確認してから、やることを済ませ、
仕事へ向かった。
今日のシフトは朝から栞里と一緒だった。
「おはよー!茉莉ちゃん。いつも早いねぇ!
いつも鍵開けありがとう!」
「おはよー!栞里ちゃん。どういたしまして!」
「息子君の課外授業、次は行けるといいねぇ。」
「ホントだよー!ねぇ、これ見て!ふふ。」
「何々~?」
私は笑いながら、携帯の写真を栞里に見せた。
「あはは!何これ!すっごい数のてるてる坊主!」
「ウケるでしょ?あはは。」
「よくここまで作ったねぇ!」
「ねー!全然効果ないけどね、あはは!」
「ぷふふ!ダメじゃーん!」
今日は朝からお店が意外と暇だったので
栞里とゆっくりお話ししながら仕事ができた。
仕事から帰り、洗濯物を取り込み、
録画したドラマを再生しながら洗濯物を
畳んだ。
そのまま、大樹が帰ってくるまでは休憩時間。
“もうすぐ来るかな?”
と思って外を眺めたら
元気よく走ってくる大樹が見えた。
「ただいまー!遊びに行ってもいい?」
「いつもながら、騒々しい帰りだねぇ。
もう少し静かに帰ってきてよね。
遊びに行ってもいいけど洗い物とかは先に
出してってね!あと、帰ったらすぐ宿題ね。」
バタバタとランドセルから洗い物を出し、
「はぁーい!あ、これ!連絡ノート!!」
「あ、ありがとう!」
「じゃあ、行ってきまぁーす!」
嵐のように出掛けていった。
“何だよー!テキパキ出来るじゃん!いつも
これくらいでやってくれればいいのにぃ!”
呆れながら、連絡ノートをパラッと開いた。
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先日は、お忙しい中、引き留めてしまって
申し訳ありませんでした。
お時間も少ししか取れなくて、
あまりお話しできず、残念でした…。
大樹さんの日頃の活躍、お伝えしたかったです。
また、次回、お時間ある時にゆっくりと!
課外授業は天候に恵まれずホントに残念です。
子供達の残念がる姿を見ていると、私も、
何とかしてあげたいと思うのですが、
こればっかりは何とも出来ず、晴れることを
願うばかりです。
大樹さんの作ったてるてる坊主の群れ、
ぜひ見てみたいです!
課外授業、保護者参加型でも面白そうですね。
いつも、あたたかい言葉をありがとうございます。
相澤さんの連絡ノート、いつも楽しみにしてます。
廣崎
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何だか、ホントに交換日記みたいな返事が
書かれている。
“おぉ、文章が長い!それに少しだけ、砕けた
書き方になってる。ふふふ。何か嬉しい!
『連絡ノート楽しみにしてます』だって!
……先生、いつもお礼いってくれるなぁ。
私、お礼言われるような事してないんだけどな。
でも、先生のこういうとこ、好きだなぁ。”
担任からしてみれば、こんな事はただの
社交辞令なんだろうけど、ノートに書かれる
廣崎の文字が、言葉が、私の心を擽って、
自然と笑顔になってしまう。
“ふふ。今度、てるてる坊主の写真見せに
いこうかな。そしたら会えるやん。
先生忙しいかな。迷惑かな。……うーん。”
連絡ノートをキュッと抱き締めながら、
廣崎の事を考えてしまった。
“先生、いつもありがとう。”
幸せな気持ちで優しい表情になっていた。
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