予言通り

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予言通り

いつものように、大樹はテレビの前に座り、 天気予報チェックをしている。 「わぁ!お母さん、すげぇーよ!」 大きな声で私に向かって叫んでいる。 「んー?なんで?」 「明日、晴れだって!この前、お母さん『今度は 晴れる』って言ってたやん!予言者やん!」 私もチラッと天気予報に目をやりながら、 「すごいでしょー!だってお母さんだもん!」 フフン!と笑った。 “やっと晴れるのねー!よかったよー!” 「お母さんすごい!そして、やっと行けるー!」 「ふふふ。良かったねぇ。5、6時間目だっけ?」 「そうだよー!」 「その時間なら、仕事終わりに通りかかったら 見れそうやなぁ。ふふ。」 「えぇー?見に来るの~?」 「ん?ダメなん?先生はいいらしいよ?」 「えー!?いつそんな話したの~!?」 グイグイと私に詰め寄って質問する大樹。 “……でしょうね!連絡ノートでしか、先生とは そんな話してないから。あはは!” 「ひ・み・つ!」 色々とめんどくさいから、笑って誤魔化した。 「何だそれ~! 」 大樹はそれほど意識もせず、二人で笑った。 翌朝、カーテンを開けてみると、見事な快晴。 “んーーー!いい天気!今度こそ、河原探索、 行けそうね!良かった!” 「大樹~、早く起きなきゃ~。」 しかし、大樹は起きない。 時間は7時をまわっている。 7時30分には 分団場所に行かなきゃ行けないのに…。 大樹が大あくびをしながら起きてくる。 「ふぁーーぁ!おはようございます~。」 大あくびをしながら窓の外を見た大樹は 目が覚めたようだ。 「わぁぁぁ!お母さん!晴れてる! 晴れてるよぉ!」 窓に張り付いて、目をキラキラさせる 大樹を見て笑ってしまった。 「くはは。そうね!晴れてるね! 大樹、良かったね!てるてる坊主さん達に お礼言わなきゃね。でも、その前に時間! 間に合わなくなっちゃうよ!」 慌てて時計を見る大樹。 「あぁ!ヤバイ!早く準備しなきゃー。でも、 行く前にてるてる坊主にお礼しなきゃ!」 そう言って準備された朝食をペロッとたいらげた。 “わはは。天候にめっちゃ左右されてる! でも、相当、楽しみにしてたんだね! でも、大樹だけじゃないよね。佳翔先生も 絶対、テンションあがってるはず!ふふふ。” そんなことを考えながら、大樹に準備を急かす。 大樹はたくさんのてるてる坊主サンの群れに むかって、手を合わせた。 「今日晴れにしてくれて、ありがとう!」 「大樹、忘れ物ない?大丈夫?」 「うん!ない!行ってきまぁす!!」 「はぁい!気をつけて行ってらっしゃい!」 元気に玄関を出た大樹は、軽やかに駆けていった。 毎週、狙ったかのように課外授業の日は雨だった。 その度に窓際に増えていくてるてる坊主。 毎日、真剣にてるてる坊主を作る大樹を 見ているとなんとかしてあげたかった。 だから、驚くほどの快晴でほっとした。 “やっと、晴れたぁ。 帰りに学校裏の河原道、寄ってみようかな。 そしたら、見れるかな。ふふふ。” 私が見たいのは、子供達なのか廣崎なのか…。
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