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オーラと恋心?
大樹は6時間授業なので、少し遅く帰ってくる。
私は一足先に家に着いた。
甘いミルクティーを作ってリビングで
くつろぎながら先程の光景を思い浮かべた。
遠目で見ても廣崎は見つけやすい。
独特の歩き方。
あの雰囲気。
ついつい、目が廣崎を追ってしまう。
参観日の日に廣崎を初めて見たときの
あのあたたかい感じ。
あれは、オーラのようなものなのかな。
廣崎のいる所だけ、色が違って見えるから、
どんなに遠くからでもすぐに見つけられる。
今回の河原にいた廣崎も、すぐに見つけられた。
色が違って見える……って、言うと、
ちょっとおかしな子って思われちゃうよね。
別に私は霊能力者でも、何でもない。
何でもないただの人なんだけど、私にとって、
廣崎を見つけることは簡単なことだった。
明らかに、私は廣崎に、惚れている。
だからといって、何かしたいわけでもない。
『すき』だけど『LOVE 』ではないのだろう。
奥さんの話を聞いても、全然嫉妬心もない。
むしろ、相手の奥さんの事も好きになれる。
亮輔への『すき』は『LOVE 』なんだと思う。
触れられたい、ドSに攻められたい、等々、
亮輔にはたくさん求めてしまう。
一方、廣崎に対しては、
そこに存在していてくれるだけで満足。
それ以上を求めていない。
ホントに見れるだけでいい。
これって恋愛感情なの? ……疑問だ。
どちらかと言うと、
憧れや尊敬に近いんじゃないかな。
心のオアシス……的な。
廣崎の印象は、明るくてとことんポジティブで、
芯が強く、頼れる年上の男って感じ。
そんなところにすごく惹かれている。
たまに見せる天然なところとか。
子供達と本気で勝負する大人げなさとか。
滅多に見せないが、明るい笑顔とは対称的な
刹那い表情とか。
“たぶん、私は佳翔先生の人柄が、全てが、
『すき』なんだろうなぁ。”
亮輔と廣崎。
それぞれに求めるポイントが違うのだ。
今の私にはどちらも必要な存在なのは間違いない。
“今日は久しぶりに佳翔先生がちょっとだけ
見れた!何だか幸せだなぁ。
片想いしてる女の子みたいだなぁ。ふふふ。”
ホントに片想いしてる学生みたい。
“そういえば、学生の頃、こんな恋愛してたなぁ。
もうそんな気持ち忘れてたよ。
ひとつ上の先輩だったっけ?
バスケが上手くて、カッコ良くて…。
好きだったなぁ。先輩が見たくて、いつも
先輩が通りそうな所やいつもいる所とか、
捜してたなぁ。懐かしい。
何か、あの時と同じだな。ふふふ。 ”
懐かしい記憶がよみがえった。
あの時と同じように、ちょっとしたことで
幸せを感じられている現在がすごく嬉しい。
亮輔がいて。
廣崎がいて。
どちらも大切で。
それがすごく幸せで。
……私って、ずるい。
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